佐藤雄紀 ラヴェル・リサイタル 曲目紹介④♪
高雅で感傷的なワルツ(1911)
『高雅で感傷的なワルツ』は、オリジナルのピアノ版が1911年、オーケストラ編曲版とバレエ『アデライード、または花の言葉』が1912年に作曲された。シューベルトのワルツを手本として作られているが、ラヴェルの他の多くの曲と同じく、模倣しながらもその作曲家を飲み込むほどの、革新的な創意を盛り込んでいる。大胆かつ緻密で研ぎ澄まされた響きは、ドビュッシーに「これまでに存在した最も鋭敏な耳だ」と言わしめたほどであった。ラヴェル自身はこの曲を「『夜のガスパール』の本質となっている名人芸に続くものだが、明らかにいっそう簡潔で透明な書法によっていて、和声は硬直化し音楽の立体感を際立たせた」と述べている。バレエ『アデライード、または花の言葉』の台本も作曲者自身によるもので、ピアノ版の楽譜にも「アデライード」と副題が付けられていることから、オリジナルのピアノ版にもその筋書きが想定されていたと考えられる。1820年頃のパリのサロンの客間を舞台に、高級娼婦アデライードに2人の男が言い寄るというものである。以下、バレエのシーンの概要を紹介する。
第1曲
アデライードの家でパーティが開かれている。
第2曲
優雅でメランコリックな性格の青年ロルダンが登場。花に託した花言葉でアデライードに愛する気持ちを伝える。アデライードもそれに花で答えるが、色よい返事ではない。
第3曲
もう一度ロルダンはアデライードに愛の告白をする。アデライードは今度は好意的に花によって返事をする。
第4曲
アデライードとロルダンが踊っていると公爵が登場。アデライードは公爵に気付いて踊りを止め、落ち着かなくなる。
第5曲
アデライードはロルダンとまた踊るがその踊りは儀礼的になる。公爵は花と宝石でアデライードの心を引く。彼女はコサージュの花を落とし、公爵に応える。
第6曲
ロルダンは絶望しアデライードをなじる。アデライードは彼を妖艶に押しとどめる。
第7曲
公爵はアデライードに踊りをせがむが、彼女はそれを断り、落ち込んでいるロルダンを誘い、ロルダンもそれに乗って次第に腕をとられてゆく―登場人物全員の踊り
第8曲
客たちが帰り、引き留められることを期待していた公爵もアデライードにすげなくされて去っていく。沈んだ気分のロルダンも、花言葉で示されたアデライードの慰めを拒否して出ていくが、再び戻ってきて膝をつき、絶望の気持ちを示して拳銃を自分のこめかみに当てる。アデライードは微笑んで胸から取り出した赤い薔薇を足元に落とし、ロルダンの胸に抱かれる。
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