佐藤雄紀 ラヴェル・リサイタル 曲目紹介⑤♪
道化師の朝の歌(1904-1905)
『道化師の朝の歌』は5曲からなる『鏡』の4曲目で1904-1905年に作曲され、リカルド・ビニェスにより初演された。後にオーケストラ編曲もされた。ラヴェル自身も「『鏡』は私の和声上の発展においてとても重大な変化を示した作品であり、それまで私のやり方を充分にわかっていた人々さえも狼狽させてしまった」と述べている。「充分にわかっていた人々」とはラヴェル自身が当時深く付き合っていた「アパッシュ」という芸術家のグループで、5曲はそれぞれこのメンバーに献呈された。普段親しく付き合っていた彼らを狼狽させたこの作品が、当時いかに前衛的な響きだったのかを想像して聴いてみるのも楽しい。道化師の朝の歌は、ラヴェルのスペイン趣味を端的に示していて、ギターの響きを模した鮮やかでリズミカルな冒頭と道化師の孤独や憂鬱が感じられる中間部との対比は見事で、重音のグリッサンドや同音連打などヴィルトゥオーゾ的なテクニックをふんだんに使い、劇的な最後を迎える。
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