東京学芸大学音楽科の同窓会誌に寄稿♪
大変お世話になった母校、東京学芸大学音楽科の同窓会誌に寄稿させて頂きました。
良かったら読んでみて下さい♪
「上原興隆先生との出会い 」
東京学芸大学で上原興隆先生と出会い、学部での4年間、大学院での2年間、桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コースでの4年間と計10年間、温かく、辛抱強く、情熱のこもった指導をして頂けたことは、私の人生において唯一無二の宝物です。先生は、楽譜からいかに作曲家の意図を正確に読み取り、一音一音に魂を込め、生き生きとした音楽的な演奏を作り上げていくかということを丁寧に教えて下さいました。上原先生の音楽家、教育者としての真摯で誠実な生き方は、私が人生を歩んでいく上で大きな指針となっています。
現在、私はピアノ演奏・教育を人生の軸にしており、信州豊南短期大学幼児教育学科で専任教員として、玉川大学芸術学部芸術教育学科で非常勤講師として働いています。養成校の教育に携わるにあたって、学芸大で学んだ様々な教育的な視点が生きています。保育者・教育者を目指す学生を、限られた時間でどのように育てていかなければならないのかということを徹底的に考え、様々な改革を進めてきました。ピアノ教材・カリキュラムの見直し、アクティブ・ラーニング型レッスンの導入、入学前教育の徹底、毎月のピアノ無料講座の開講(高大・地域連携)などを通じて、学生の様子や音楽に対する考え方も少しずつ変化してきました。
昨今、こうしたら得だ、損だ、合理的だなどという考えがどの社会にも蔓延していますが、それは非常に寂しいことです。私は、これからの日本の未来を担っていく学生に携わっている者として、人の痛みにそっと寄り添えたり、美しいものに心の底から感動したりできる豊かな感性を持った人間を育てていかなければならないという信念を持って教育にあたり、偉大な作曲家がこの世界に残してくれた素晴らしい音楽作品と真摯に向き合い続け、人間にしかできない表現とは何なのか、社会における芸術の果たせる役割とは何なのかということを共に考え、生きていきたいです。
佐藤雄紀
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