佐藤雄紀ピアノリサイタル終演♪

おかげさまで、佐藤雄紀ピアノリサイタル Debussy × Yuki Sato なんとか終えることができました。


いろいろとお忙しい中、お時間を作って会場に足を運んでくださった皆様、最後まで気にかけてくださった皆様、本当にありがとうございました😌


まずは、リサイタルに向けての思いを当日のプログラム前文に載せましたのでご紹介します。


プログラム前文より---------------

ご来場の皆様、本日はご多忙の中、佐藤雄紀ピアノリサイタルに足を運んで頂き、本当にありがとうございます。私のライフワークにしている一人の作曲家に焦点を当てたリサイタルは、どこまで一人の人間の本質(宇宙)に近づくということができるのかという挑戦でもあります。人間に与えられた神秘的な余白とも言えますが、どんなに身近な家族や親しい友人でも、一人の人間を理解することは非常に難しいことです。一人の人間をよく理解することは、世界を理解することに繫がるのではないでしょうか。

 どのような分野でもことの本質に近づくためには、AIが出してくれるような正確なデータを分析しただけでは不十分です。ただ機械的に正確に楽譜を読みこんだとしても、ドビュッシーの求める美しい音世界には永遠にたどり着けないでしょう。そこで大切になってくるのが、人間の持つ感性、想像力、そして、偉大な先人たちから引き継いできた作品を表現するための技術ではないでしょうか。

 ドビュッシーは、革新的な作曲家でした。これまで禁則と言われた和声を大胆に使い、詩、文学、絵画、自然、スペイン、東洋、女性など多くのことからインスピレーションを受け、作品にしました。本日は、ドビュッシーの持つ美しく、魅惑的な世界を皆様とともに体感できたら嬉しく思います。

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私もなんとか?終えることができて、ほっとしているところです。

ドビュッシーという一人の人間と作品に向き合う中で、私自身の考え方や演奏も変化させてもらえたのかなと考えています。

  

100年以上前にフランスで生き抜いた偉大な作曲家に時間をかけてじっくり向き合い、改めて出会い、悩み、試行錯誤して、熟成され、表現を生みだすうちに、うっすら自分の内面が変化したのだと思います。まさに「人との出会いは人生を変える」ですね。


Hakuju Hallでも、様々な場所で出会った素敵な方たちとの久しぶりの再会、そして新たな出会いがあり、本当に嬉しく、有り難かったです。


そして、最後のトークでも触れさせていただきましたが、私は今、混沌とした争いの絶えない世界をとても危惧しています。


歴史的に見ても戦争に向かってしまうときには、ある一つの価値観のみが正しいとされ、人間が数字のように扱われ、役に立つ・役に立たないという考えが先鋭化され、文化的なものや人間が生きていくのに必要な余白は排除されてしまう傾向にあります。


演奏以外のアプローチで、少しでも世の中がよくなればという思いを込めて『現代を生き抜くあなたへ贈る 感性を磨く芸術家の言葉40』を書きました。


『うたのミックスジュース こどものうた242』も子どもたちが楽しい歌を元気に歌えるというのは、本当に平和なときにしかできないことです。


今回、本を作る際に調べた戦時中に使われていた教科書には、軍国少年を生みだす恐ろしい歌詞がたくさん並んでいました。その一番最後の方に、かの有名な《ふるさと》がでてきます。その文脈で出てくると、戦地から故郷に帰れず、家族に思いを馳せるうたに聴こえてしまいます。これらのことは、そんなに昔に起きたことではありません。私たちの祖父・祖母が経験してきたことなのです。


お互いの文化や風習、宗教、考え、立場の違いを認め合える、温かな世界になることがとても重要だと思います。


アンコールは、ドビュッシーを生涯尊敬し、平和を希求し続けた坂本龍一さんの《戦場のメリークリスマス》を演奏しました。Hakuju Hallのスタッフの方が照明など粋なはからいもしてくださりました(サプライズ✨)本当にありがとうございました。


これからも一人の作曲家に焦点をあてるリサイタルシリーズは、引き続き私の大切なライフワークにしていきたいと思います。暑い日が続いているので、くれぐれもお身体に気をつけてお過ごしください。また聴いていただける日を楽しみにしております。


本当にありがとうございました😊❤️


佐藤雄紀

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